Thursday, January 15, 2015

The Nazis and Abe’s Cabinet – 政治の将来を憂う


正月早々、BSで「ヒトラー権力掌握への道」というドキュメンタリーを観ていた。そこにあぶり出される反知性主義と尊大さ、そしてナルシズムという独裁者の特長がこの国の安倍政権特有の個性に見事に重なり合って見えてしまう。折しも国民の政治的無関心がそうした勢力に台頭の隙を与え、気がつけば一党独裁の権力によるメディア統制や反対勢力の封殺、大学では徹底した焚書まで突き進んで行く。
今週になって、「通販生活」の春号でそんな同じ思いを代弁するような半藤一利の記事を見つけた。


© 通販生活

そもそも政治が国民の思いと遊離している原因は偏に選挙制度にあると僕は考えていたし、その改革を国会議員に委ねて実現するはずもないので、昨年末の衆議院選挙に期待もしなかった。願いはただひとつ、安倍の思い上がりを助長しないで欲しいだけ。ただ結果とは別に、その制度が違っていたら趨勢がどう動くはずたったのか自分なりに検証しておきたいと考えていたので、選挙後に早速得票数の詳細をエクセル上に集めてあれこれ計算を始めた。政治を変える土台作りだと思って。

財政健全化の観点からも議員の数を半分にすれば無駄遣いも半減できる。それは「身を切る覚悟」などではなく、人口が2倍の米国でも下院435名という数を見れば、単に世界の中でも身の程の規模だと思う。人口もこれからどんどん減少するわけだし。そこで目標議席数を200として比例区なしの中選挙区にまとめるケーススタディを考えることにした。

まず各都道府県の登録者数は今回の選挙のために更新された12月のデータをひとつひとつネットで集めた。但しいくつかの県では9月データ(*)までしかアップされていなかったのと、在外有権者数について明記されていない県もあった。それでも1年前のデータをまとめた総務省サイトの数字よりは現状に近いと思う。
ここでは有権者数が約1400万と知ってちょっと驚く。20歳未満の人数がいかに少ないかと言うことだ。でも20/40/60/upと世代を区切ってみれば、子供の数は多くても3割くらいとの理解もできる。あと、登録者数は大都市を除くとほとんどすべての県で数千人単位での減少傾向が明らかで、人口減少が進んでいた。

次に小選挙区の定員数が実態とどの程度ずれているか検証。1+αを定員数295で割ると約35.3万人に議員1名となり、ノーマライズした数字と対比すると首都圏など大都会が割を食っている状況が見える。こんなのは定員数固定じゃなくて、算出方法をフローとして選挙法に組み入れれば毎回調整OKなのにと思う。どこまでも合理的でない。


中選挙区ということについて、国会議員を都道府県別に選出はもともと少々ナンセンスと僕は思っている。地元利益の話は地方自治に委ねて、国政は基本的に大所・高所を見る人材で構成して欲しい。とは言え対極にある全国区型選挙にも長短はあり、今回の投票にも地域の温度差は出ているわけで、それを完全にゼロにしなければとまでは思わない。そこは合理的なベストバランスを探る必要があるだろう。具体的な都道府県のグループ化は間違いなく濃厚に政治が絡んで来そうな部分だと思うが、ここではシンプル且つ感覚的に数字バランスで隣接県を束ねて選挙区割と定数を想定してみた。大規模になる選挙区には1520人区なんてところもあるが、定数何人程度までが選挙民にハンドルしやすいのかとか、定数が多い場合も1名記入なのかとか、特有の問題も考えなければならない要素だろう。

作業を始めて見て、今回の選挙結果から新しい区割りの中での当選者を合理的に推測して、その勢力分布を割り出すというのは無理があるというのを早々と謙虚に理解した。それでも大まかに見えてくることはあるし、この設定下での何らかの結果まで到達することが目的なので、当然最終当選予想も出してみた。その手法は至って乱暴で、これはシミュレーションとは言えず、ひとつの見立てだ。何か高度なシミュレーション・プログラムでも駆使すればもっと信頼できる仮説が提言できるのかも知れない。



結果の妥当性に確たる裏付けはないが、当選者を選別するのに怪しげなプロセスを用いたわけでもない。まずは年末の小選挙区でトップ当選を果たした野党候補についてはそのまま(ほぼ)当選者としてスライドさせるようにした。一方、与党候補については必ずしもそうしていない。理由のひとつは圧勝自民党当選者数が新定員数をオーバーするケースが多々あることによる。当選者選別で重視する要素は各党の得票数なのだが、それを積み上げただけでは実態は見えない。野党候補が立っていない小選挙区が多いからだ。候補者一人当たりの平均集票力で見ると、自民と民主は議席数ほどの大きな差はない。さらに公明も僅かな差で追う。結果の積み上げだけなら共産も無視できない票数を獲得したし、実際に勢力も大きく伸ばしたが、平均集票力では見劣りしている。そうした背景をバランスしながら各選挙区での当選者を振り分けた。従って与党に対しては過小評価に偏っているかも知れないし、それは野党(特に民主)がどのように候補者を絞り込むか次第ということになるだろう。
さて、各地域ごとの概要説明は長くなるので後日別途紹介することにして、ここまでの見立てでは与党が過半数を確保したことがまず結果の第一点。勢力分布は自民110、公明6、民主45、共産19、維新11となった。比例全国区一本なら与党は過半数割れとシミュレーションした例がインターネットにはあったが、そこまでの大きな逆転はない。結果でふたつ目に注目したいのは中選挙区にしても弱小野党の議席確保には繋がらないということだ。これは第三極なども含め、野党が分裂細分化してきたことにも一因があると思う。それではここからどうすれば世の中を良い方向に導けるのか、考えることは多いと思う。