土曜日に三鷹芸術文化センターでターフェルムジーク・バロック合奏団の「ガリレオ・プロジェクト」演奏会に行きました。ガリレオ生誕400年を機に企画されたワールド・ツアーで、僕は直前になって彼らの来日を知り慌ててチケットを探しました。幸いと言うべきかこの団体も会場もメジャーではないせいか、週末の三鷹・青葉台とも空席が残っていて、あれこれ考えた末、ステージに近い2階横のR13/14席(A席5000円)を電話で確保しました。ホールに入ってみると、2階横のL/R1〜12は照明スタンドの配置などで空けられていて、僕の席が一番端でした。ここからはステージの様子が丸々俯瞰できて大正解でした。
今回のテーマは天文学が花開く17世紀、ガリレオからニュートンへの物語を当時の音楽で綴って聞かせるもので、代表的な作曲家の作品が網羅されています。
ステージにはスコアは持ち込まず、全員すべて暗譜です。舞台はそうあるべきだと、僕も自分の合唱で痛感してはいますが、大変なことです。15名程度の演奏者たちは低音楽器のチェンバロ、チェロ、コントラバスを真ん中に置いて、あとは周囲を取り囲むように小グループ毎に掛け合いをするのですが、舞台にはバッチリ円形に模様が描かれています。時には円陣となってそこをぐるぐる回りながら、脚でリズムを踏んでみたり、踊るような演奏をします。この辺りはこの楽団の真骨頂というところなのでしょう。こうした演出は僕の席からはバッチリ楽しめました。ジーン・ラモンは以前から音楽の源流とその文化論的な役割に関心があるようで、それは例えば彼らの「調和の幻想」CDに同梱されているDVD – The Four Seasons Mosaic (四季のモザイク)を観れば明らかだと思います。演奏者の一部はさらに1階席に散らばったり、2階席後方に移動したりして、ホール全体をあたかも宇宙空間に見立てて最大限の広がりで演奏したり、一般には馴染みの薄い音楽に飽きさせない工夫も凝らしていました。
ジーン・ラモンの疾走型で勢いのあるバロック演奏には、ヘンデルの合奏協奏曲を聴いて以来好意的に付き合っていますが、生の演奏はCDのシャープな音色よりは全然柔らかく聞こえました。彼らの演奏は3年前にトロントでメサイアを歌う演奏会に行って一度聞いてはいますが、その時は大きなフルオケでしたし、状況も違ったので、今回の室内合奏規模がちょうど好ましい比較対象でした。印象に残ったこととしては、リュリの作品がオーセンティックな風格をもつ音楽だと初めて気付いたのと、締めくくりに演奏されたバッハがやはり自分としては良かったことです。
ところで当日は三鷹駅から文化センターまで歩いたのですが、八幡様の境内に明らかに楽団員と見える3人の外人が普段着で散策しているのに遭遇しました。僕は連れ合いに「あの男性は多分オーボエか何かを吹いていたと思う」と説明しましたが、開演30分前というのに何たる余裕なの!と連れ合いは信じてくれません。果たしてその人物は2曲目にオーボエを持ってステージに登場してきました。良く見るとコントラバスの女性も3人の1人でした。ステージでの彼らは実に楽しそうで、緊張とは無縁という感じでした。
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