Thursday, March 16, 2017

Astor PiazzollaとMQA CD


Mick沢口/UNAMASアルバム、ピアソラのタンゴ7曲が素晴らしい。既にネットでダウンロード配信中だ。
ピアソラの録音でタンゴとクラシックの融合を端的に示したものとしては過去にヨー・ヨー・マのディスクがあり、今回のリリースも目線としてはそれに近いものになるが、ピアソラの音楽を初めてハイレゾ優秀録音で楽しむことができるという意味でこの演奏は広くピアソラの音楽再発見へと向かう契機になってほしい。

僕は昨年、まず5.1 final mixを試聴したが、のっけからオーボエの音に我知らず引き込まれた。5.1mixで聴くとその質感とともに楽器のサイズ感のようなものを3次元空間上の響きの中から汲み取ることができる。
弦楽器を叩くパーカッシブな響きでは指差したくなるほど明瞭な位置関係の実在感が半端ない。
そしてアンサンブルの集中力も凄い。その大胆な音像構成と響きのintimacyに引き込まれ、しかも楽しい。鑑賞体験として音楽との距離感が近い賜物だ。

後日、沢口スタジオで9.1mixも聴いたが、今回の録音は5.1と9.1にこれまでのような大きな落差はないと感じた。これは従来の大賀ホールと違ってAGSスタジオ収録であることによる。距離感の近さはまさに演奏空間のディメンションを見事に反映していたという訳だ。是非ともBD Audioディスクにして市場に出して欲しいと思っている。

そしてさらに明日3.17、このアルバムが世界初のMQA-CDディスクとして発売されることとなった。
これまで通り現在のシステムでも通常のCDとして聞くことができるのに加えて、MQA搭載デコーダ経由で聞くと176.4k/24bitのスタジオ音質ハイレゾ再生が可能となる。
MQA再生はワーナー、ユニバーサルの大手レーベルの参加とTIDALのサポートが始まって、PC系システムでの鑑賞が主力で動いている状況で、ハード系としてはプレーヤーとMQA-DACをS/PDIF接続という限られた選択肢となるので一気に普及とは行かないと思うが、CDフォーマットの未来像を変えるエポックになるだろう。

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